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FILE 13. Amsterdam & Makiko Hatakeyama,Daisuke Hatakeyama / Art Director,Graphic Designer / Setagaya, Tokyo
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畠山磨樹子/東京生まれ。グラフィックデザイナー、アートディレクター。 畠山大介/秋田県生まれ。グラフィックデザイナー。
三軒茶屋の商店街から脇道へそれる。人が二人、並んで歩くのがやっとの細い路地を歩いて行くと、一軒の家の前で犬の鳴き声がする。ベルを鳴らすと、ドアが開き黒い犬が勢いよく飛び出してきた。出迎えてくれたのは、11歳になるメスのブリュッセルグリフォン。名前は、アムステルダム。飼い主の畠山磨樹子さんとご主人の大介さんは、普段“アム”と呼んでいる。アムは、自宅でフリーランスのアートディレクターとして仕事をする磨樹子さんが、独身時代から飼っている犬だ。「小さな頃から大の犬好きでしたが、なかなか飼う機会がありませんでした。アムとは、知人の飼い犬として最初は出会い、赤ちゃんの頃から頻繁に会っていました」。その頃からアムは、磨樹子さんによくなついていたという。アムが2歳の頃、その知人が犬を飼うことができなくなり、磨樹子さんはアムを譲り受け、飼いはじめることにした。当時、磨樹子さんはデザイン会社に通勤していた。「家に一人で置いておくのが心配で、会社にも毎日アムを連れていっていました」。3年ほど一緒に通勤していたという。だが、一緒に会社まで通うことは、磨樹子さんにもアムにも負担があった。だから、磨樹子さんはフリーランスになることを決める。「フリーランスになればアムに通勤移動の負担がかからないし、自宅でずっと一緒にいられると思ったんです」。それからは、毎日多くの時間を一緒に過ごしているという。「夫よりアムといる時間の方が長いです(笑)。アムを飼ってからは旅行や外食が減り、家に友人を招くことが増えましたね。アムのおかげで週末の我が家はにぎやかです」。やんちゃで必ずオスに間違えられるアムは、11歳にしては驚異的に元気と医者に言われるほど。しかし、最近は老いの兆しも感じるという。「白髪が出てきて、それを見るのは辛いです。現実逃避かもしれないけれど、寿命のことも考えたくなくて……」。いつまでも一緒にいたいという思いから、アムの健康には細心の注意を払っているという。磨樹子さんが仕事で家を空けるときは必ず母親に預け、蒸し野菜を入れるなどして餌には気を配り、検診にも頻繁に通っている。「アムは、私にとって子ども同然です。アムのいない生活なんて考えられません」。取材が終わり家を出ると、外はもう暗かった。窓のカーテンに映る影の向こうから、楽しそうな話し声と元気な鳴き声が聞こえてきた。
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