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FILE 10. Toro & Masahiko Nozaki / “LOS PAPELOTES” Owner / Shibuya, Tokyo
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野崎雅彦 / 1973年生まれ。古書店LOS PAPELOTES店主
代々木上原駅の北口を出て約1分。商店街の入り口に、犬のロゴマークが目印の「LOS PAPELOTES」という古書店がある。ライフスタイル関連の本や雑誌を中心に、小説や美術書、写真集など幅広いジャンルの古書を取り揃えている。そんな店内のレジ横で店番をしているのが、ミニチュアダックスフンドとヨークシャーテリアのミックス犬、12歳のトロだ。この店の店主であり飼い主の野崎雅彦さんとは、当時の野崎さんの同居人が犬を飼いたいと言ったことがきかっけで出会う。「はじめは犬を飼うことに反対でした。責任も持てないし、散歩も面倒だと思って。同居人に連れられて初めてトロを見たときも、小さいから可愛いけれど、特にそれ以上の感情は沸かなくて……」。その後、結局同居人に押し切られトロを飼うことになると、野崎さんに変化が。「毎日一緒に生活しているうちにどんどん好きになりました。最終的には、僕の方がトロを溺愛するようになり、同居人が出て行くときにトロを引き取ることにしました」。そうして、トロとの二人暮らしがはじまり、毎日一緒に出勤するようになって11年が経つ。「家では吠えないのですが、店ではたまに吠えることもあります。彼なりにこの店を守っているつもりのようです」。いつも外を眺めるような姿勢で寝ているのは、お店の外をチェックするためなのだとか。よく見ると、鉄製のレジ棚の下にはトロのマーキングによるサビもある。「トロに会うために来てくれるお客さんもいます。それで悪いからって本を買ってくれたりして(笑)。散歩中に知らない方から話しかけられたり、以前トロが迷子になったときには、小学生の女の子が店まで連れてきてくれたりしたこともありました」。本人はお店を守っているつもりでも、街の人に見守られ、愛されているトロ。お店のロゴマークも、モチーフとなったのはもちろんトロだという。「僕が大ファンのイラストレーターであり装丁家の和田誠さんに、ご縁があってロゴの制作を頼めることになったんです。嬉しくて、トロも描いてもらいまいた」。こうしてお店のトレードマークにもなったトロは、野崎さんにとってどんな存在か尋ねてみた。「家族やパートナーという感覚とは少し違います。家でも店でもずっと一緒にいるので、自分自身というか、もう半身のような存在です」。そう話す野崎さんの横で、トロは少し眠そうにまた外を眺めていた。
LOS PAPELOTES
東京都渋谷区西原3-4-2 紅谷ビルG102
TEL&FAX:03-3467-9544
http://lospapelotes.com/
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